社会の期待や動向を踏まえて、大学教育や大学入試は改革を続けています。
このような時代だからこそ、学ぶ姿勢や将来の目標がいっそう重要になります。
受験の大敵は「不安」。恐れず、自分を本当に活かす将来を意欲的に考えましょう。
感染症や災害・トラブルなどについては、大学側も対策を進めていますので安心しましょう。
大学入試を巡る動き
入試スケジュール
大学入試センターが公表した「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施要項」によれば、同テストの基本的な仕組みや試験時間割などの変更はありませんでした。また、新型コロナウイルス感染症などの感染症に罹患した場合等でも追試験で対応ができるようにするための措置として、例年本試験の1週間後に実施される追試験が2024年度入試と同様に2週間後に実施されます。追試験会場の設置箇所数については、現時点では未定となっています。
2025年度大学入学共通テスト | ||
受験案内の配布開始日 | 9月2日(月)から | |
出願期間 | 9月25日(水)~10月7日(月) | |
検定料納付期間 | 9月2日(月)~10月7日(月) | |
実施日程 | 本試験 | 1月18日(土)・19日(日) |
追試験 | 1月25日(土)・26日(日) 会場は文部科学省の決定に基づき別途設定 |
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資料発表 | 中間発表 | 1月22日(水) |
最終発表 | 2月6日(木) |
◆現役生は学校経由の出願になります。学校への出願書類提出期限は各学校で別途指定されますので、それに従ってください。
2025年度入試スケジュール
安心して実力を発揮できる入試へ
文部科学省は、多様な背景を持った志願者を対象とする選抜及び障がいのある入学志願者への合理的配慮の充実について、実施要項に明示しました。
多様な背景を持った者を対象とする選抜(家庭環境、居住地域、国籍、性別等の要因により進学機会の確保に困難があると認められる者その他各大学において入学者の多様性を確保する観点から対象になると考える者(例えば、理工系分野における女子等)を対象とした選抜)を実施する場合は、その趣旨や方法について社会に対し合理的な説明を行うことや、入学志願者の大学教育を受けるために必要な知識・技能、思考力・判断力・表現力等の適切な評価に留意することと示されています。また、障がいのある入学志願者に対して合理的配慮の内容を決定する際には、入学志願者一人一人の個別のニーズを踏まえた建設的対話を行うこととし、相談窓口や支援担当部署等を設置するなど事前相談体制の構築・充実に努めることを求めています。
また、2022年度入試における共通テスト試験中の問題流出を受けて、受験生の不正行為防止の取り組みと対応が厳格化されました。不正行為に該当する行為等を募集要項等で明示することとし、不正行為については警察に被害届を提出する場合があることを周知する、監督者に対しても巡視時に注意を要する点(例えば、手の位置、受験生の目線等)を周知することなどが示されています。
そのほか、災害や受験生の安全を脅かす不測の事態への対応についても、特に受験生が安心して受験に臨めるよう、各大学は十分な検討・準備を行うこととしています。
大学教育を巡る動き

時代のニーズに応えた学部・学科等の新増設
近年は、データサイエンスや健康・福祉などの社会的ニーズに対応した学部・学科等の新増設が見られます。
一橋大は、ソーシャル・データサイエンス学部ソーシャル・データサイエンス学科の新設。伝統的に強みがある社会科学と、数理・統計教育に基づくデータサイエンスを融合させることにより、社会における情報技術の進展や、いわゆるデジタル・トランスフォーメーションに貢献できる人材を輩出することが目的とされます。社会科学とデータサイエンスが融合するソーシャル・データサイエンスの学問分野において、その考え方を修得し、社会に存在する課題を解決できるソーシャル・データサイエンスのゼネラリストの養成を目指します。
そのほかデータサイエンス分野では、私立大でも、帝京大(データサイエンス学科)、関西大(ビジネスデータサイエンス学科)などの学部・学科の新設が予定されています。
そのほか、早稲田大でも改組(基幹理工学部学系2、学系3)が予定されています。
※本記事に掲載した設置計画は予定であり、内容が変更となる場合があります。
2024年度以降の以降の国立大入試
高校1年生が受験する2024年度に実施される2025年度入試において、共通テストの出題教科・科目、試験時間等の変更が行われます。
国立大が一般選抜において一次試験として課してきた大学入学共通テストは、これまでの「5教科7科目」に新教科「情報」を加えた「6教科8科目」を原則課す方針が示されました。共通テストの出題教科に新たに「情報」が加わることは、大学入試センター試験を含め初の教科追加となります。
しかし、「高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定する」という共通テストの主たる目的が変わるものではありません。高校の学習を確実に行うとともに、文系理系にとらわれない幅広い知識や能力を身に付けることが重要なことは言うまでもありません。
それに加えて、近年の入試改革の中で、「大学教育の基礎力となる知識・技能や思考力、判断力、表現力」の習得がますます重視されており、暗記中心の受動的な学習ではなく、自ら主体的に考え学ぶ姿勢が求められています。2025年度入試の変更を過度に恐れず、知的好奇心を発揮し、将来に向けて「自分を活かす」ための学びを続けていってほしいと思います。
2025年度 共通テスト出題教科・科目
教科 | 科目 |
国語 | 「国語」 |
地理歴史 公民 |
「地理総合、地理探求」、 「歴史総合、日本史探求」、「歴史総合、世界史探求」 「地理総合、歴史総合、公共」(うち2科目を選択して解答) 「公共、倫理」、「公共、政治・経済」 ※上記6科目のうちから2科目選択する場合、同一科目名を含む組合せは、「歴史総合、日本史探求」と「歴史総合、世界史探求」の組合せを除いて認められない。 |
数学① | 「数学Ⅰ」、「数学Ⅰ・数学A」 |
数学② | 「数学Ⅱ・数学B・数学C」 ※「数学B」、「数学C」は各2項目出題のうち3項目を選択して解答する。 |
理科 | 「物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎」、 「物理」、「化学」、「生物」、「地学」 ※「物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎」は2科目の内容の問題を選択して解答する。 |
外国語 | 「英語」、「ドイツ語」、「フランス語」、「中国語」、「韓国語」 ※「英語」はICプレーヤーを使用する試験も実施する。 |
情報 | 「情報Ⅰ」 |
上表の「2025年度共通テスト出題教科・科目」のうち、『地理総合』、『歴史総合』、『公共』、『情報』のサンプル問題は大学入試センターのホームページ(https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7ikou.html)に公開されています。