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習慣化とは-学習習慣を身につけるためのコツ-

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執筆:八尾直輝

「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長

目次

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「習慣化の谷」を越えるために

習慣化は大切だけど、身につけるのは大変

「何ごとも習慣化が大切だ」というのは誰しもが聞いたことがある言葉だと思います。
習慣化された行動は歯磨きのように、やる気を必要とせず無意識に行動できるので、「習慣は楽にできる」のです。

しかし「習慣は楽にできる」としても、良い習慣を身につけることは楽ではありません。「習慣は楽、だけど習慣化は難しい」というのを、誰しもが実感しているのではないでしょうか。
このコラムでは、そんな学習に関する習慣化のコツを紹介します。

「習慣化の谷」は6週間!?

習慣化を達成するためには、どのくらいの期間が必要なのでしょうか。
習慣化に関する研究は多岐に渡りますが、ここでは示唆に富む研究を1つご紹介します。2014年ビクトリア大学教育学部で、111名の被験者を対象に運動の習慣化の達成に必要な条件を調べる実験が行われました(Navin Kaushal , Ryan E Rhodes”Exercise habit formation in new gym members”)。

本研究では習慣化の成否を分けるのは「頻度」であることが主張されており、週4日以上の高頻度で継続することで習慣化に成功しやすくなると結論付けられています。また習慣が最も途切れやすい時期は「6週間目」であることが示されました。週4日未満の低頻度グループが運動開始から6週間目以降、習慣レベルは下降の一途をたどることになった一方で、週4日以上の高頻度グループはこの「6週間の谷」を乗り越え、その後も習慣が継続することが分かったのです。

良い学習習慣を手に入れるためには、まずは楽にできる小さな行動を、高頻度で6週間継続することを目指すのが良いかもしれません。

「行動の入り口」を見極める

習慣は、すべて小さな行動から始まる

それではそのような「楽にできる小さな行動」はどのようなものなのでしょうか。複雑な習慣も、紐解けばこの数分程度の行動をすることで、それに続く行動を引き起こしていることが多々あります。
例えば「21時から自宅学習をする」という習慣が身についている生徒を考えてみましょう。この生徒は21時になると自然と席について学習を開始するはずです。

この場合の行動の入口は「席につく」と考えることができます。学習することがあるから席につくのではなく、「席につくことで学習を開始している」のです。「今日は疲れたから、とてもじゃないけど部活を頑張れない」と思っても、部室に行って着替えると自然と身体が動き、気づいたら練習を完遂できているといった経験をしたことがある方も少なくないと思います。
この「自然と身体が動き」が行動の入口の本質です。発射のスイッチを押すと後はロケットが自然と飛んでいくように、この「行動の入口」を実行することで、あとの行動が自然と続くことを習慣化と呼びます。

自分の「行動の入口」を考える

行動の入口は、行動の最初の数分程度を指します。身につけたい習慣が決まったら、その行動の入口を具体化し、その行動をすることだけに集中しましょう。

身につけたい行動に対する行動の入口の例を挙げてみます。
以下を参考に、明日から1つ小さな行動の入口を試してみてください。

行動行動の入り口
通学する玄関で靴を履く
夜2時間勉強する21時に椅子に座る
電車で単語を覚える改札を通ったら、単語帳を取り出す

自分以外の力を活用する

人に頼る

多くの人が習慣化を達成する前に、その行動をやめてしまうようです。最初の6週間を継続するために、人に頼るというのも有効なやり方です。同じ目標をもった友人同士で自習をしたり、先生などに管理してもらうなど、積極的に人に頼るようにしましょう。

またLINEなどで報告するのも良い習慣化のやり方です。以前私が指導していた生徒が、遠方に引っ越すことになりました。直接指導することができなくなったのですが、その生徒は、その日の学習報告メールを毎日継続しました。私から特に何か指導をすることはありませんでしたが、その報告は受験まで半年間継続し、その生徒は見事第一志望校合格を勝ち取りました。学習の継続の重要性と、報告の有用性を強く認識した出来事でした。

スマホを活用する

行動の入口を決める上でスマホはとても有用なツールになりえます。
例えばタイマー機能を用いることで、学校のチャイムのように行動開始の合図にすることができるでしょう。例えば自室の机の上で、平日21時にタイマーが鳴るように設定することで、「21時に椅子に座る」行動をとりやすくなります。

他にも習慣を継続するためのアプリケーションを活用するのもおすすめです。習慣化のための記録をつけたり、学習中はスマホをロックすることで集中を促したり、様々なアプリケーションがあります。
スマホは誘惑も多く、習慣化の邪魔になることもありますが、上手く活用することで習慣化の味方にすることができるのです。

著者プロフィール

八尾直輝の写真 八尾直輝 株式会社プラスティー教育研究所

「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長。 「できない」を「できる」に変換する独自の学習法と習慣形成の支援を行う「学習コーチ」というサービスを開発・提供。 共著には『ゲーミフィケーション勉強法』『小学生から自学力がつく』があり、雑誌『螢雪時代』への寄稿や、講演会の開催、学校・予備校・教育サービス開発に広く携わっている。

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