
執筆:八尾直輝
「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長
執筆:八尾直輝
「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長
英語学習では辞書の使い方の重要性が強調されます。
辞書は「単語の意味を調べるもの」と考えている人もいるかもしれませんが、実は辞書学習には英語学習の本質ともいえるものが詰まっており、辞書を適切に活用することは、英語力の向上に直結すると言っても過言ではないのです。
例えば「dog」という単語を調べてみましょう。「dogって犬のことだよね?」と思ったあなた、それはそれで正解です。でも実際に調べてみると、「dog=犬」以上のたくさんの意味や用法が書かれていることに気付きます。(ぜひ調べてみてください。)
例えば日本語で言う「犬猿の仲」は英語では「like cats and dogs」と表現されます。英語では犬は猫と仲の悪い動物として扱われているという文化的な背景がわかりますね。
そこから派生して「raining cats and dogs」というと、雨が激しく降っている様子を表します。日本語の「ザーザー降り」という擬音語を、犬と猫が仲悪く吠え合っている様子で表現されているのも面白いですね。
このように辞書で学ぶことは知らない単語を調べること以上の意味をもちます。知っている単語でも調べてみると、そこから学びが広がるのがわかるでしょう。
知らない単語や知識を調べることを「意図的学習」と呼びます。一方で知ろうと思わなかったのに偶発的に学びにつながることを「付随的学習」と呼びます。意図的学習は学習の基本ですが、さらに主体的に英語力を伸ばしていくためには付随的学習が欠かせません。
知っていることや、調べたことに付随する内容を学ぶことで、英語の知識が有機的につながりネットワーク化されることが、英語の学習には重要です。
辞書には大きくわけて3つの種類があります。紙辞書・電子辞書・オンライン辞書(スマホ)です。
それぞれメリット・デメリットを下の表にまとめました。
付随的学習 | 携帯性 | 発音 | 検索 | その他 | |
---|---|---|---|---|---|
紙辞書 | 〇 | △ | △ | × | 書き込みや付箋の活用可 |
電子辞書 | △ | 〇 | 〇 | 〇 | 検索履歴の利用可 |
オンライン辞書 | △ | 〇 | 〇 | △ | スマホの使い方注意 |
電子辞書やオンライン辞書はピンポイントに検索結果を示してくれる一方で、それ以外の情報が排除されており、付随的学習の促進という観点からは不足します。
3つの種類のそれぞれの特徴を理解し、自分に適した使用方法を模索しましょう。
使い分けのポイントは大きく分けて2つあります。学力と場所です。
まず自分の学力によって辞書を使い分けることが重要です。上記の通り、初学者(英検3級以下)は紙辞書を使うことを心がけましょう。紙辞書で調べることで、1つの単語に対して複数の訳語を検討する習慣も身につけることができます。また細かいですが、電子辞書・オンライン辞書は、予測変換機能があることも多く、それが逆に初学者のスペルを学ぶ機会を奪ってしまうこともあります。
場所別の使い分けも重要です。紙辞書の有用性を強調しましたが、学校や予備校・塾に持っていくには重たく不適切なことも多いでしょう。また授業中にとっさに英単語を調べたいときなどは、検索性に優れた電子辞書が有効です。また電子辞書・オンライン辞書では調べた単語の発音を再生できるのが大きな強みです。そういう強みを生かすために、自宅で電子辞書・オンライン辞書を活用するのも決して悪い選択ではありません。
英語を学んでいる人のなかには、音読が重要だと聞いたことがある人も多いかと思います。なぜ音読が重要なのでしょうか。
それは「日本語を介さず英語を理解するため」です。
「アップル」という音を聞いたときに、みなさんはどのようにその音を理解するでしょうか。
「アップル」は日本語の「りんご」だと1回日本語経由してから、「りんごのイメージ」を想起するのが、日本語を介した理解です。
一方で英語の得意な人は、「アップル」という音からそのまま「りんごのイメージ」を想起します。日本語を介さないため、英語をより直接理解することができます。
このように、日本語を介さないで英語を理解するためには、「アップルという音」と「りんごのイメージ」を直接繋げる必要があります。「音とイメージを直結させる」ために、音読は重要なのです。
以上で見てきた通り、音読は英語学習に欠かせないものであり、「音読は効果的」というよりも、「音読は必要不可欠」という表現の方が適切と言えます。音読と聞くとネイティブのような流暢な発音をイメージするかもしれませんが、難しい場合はカタカナ読みから始めてもOKです。重要なのは「音とイメージが直結していること」であり、発音は学ぶ過程で改善していけばよいからです。
そういう意味で、英単語を辞書で調べるときは必ず発音を調べましょう。紙辞書にも発音記号は載っていますが、難しいときは電子辞書・オンライン辞書を積極的に活用し、必ず正しい発音を把握するようにしてください。
\ 駿台公式SNSをフォロー /
編集担当が選ぶピックアップ記事
「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長。 「できない」を「できる」に変換する独自の学習法と習慣形成の支援を行う「学習コーチ」というサービスを開発・提供。 共著には『ゲーミフィケーション勉強法』『小学生から自学力がつく』があり、雑誌『螢雪時代』への寄稿や、講演会の開催、学校・予備校・教育サービス開発に広く携わっている。
プラスティー公式サイト