共通テスト対策はいつから始めるべき?科目別対策ポイントも紹介

監修者:駿台予備学校 教務課

大学受験に臨む上で大きなトピックである大学入学共通テスト(以下、共通テスト)。2024年度入試で実施4年目を迎えます。共通テストに向けた学習や対策はいつから始めていくべきでどのようなポイントに気を付けるべきかを、科目別に説明していきます。

目次

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共通テストはどんな試験か?

共通テストとは、大学入試センター試験(以下、センター試験)に代わって2021年度から実施されている試験です。独立行政法人大学入試センターによって実施されています。主な狙いとしては、高校生として基礎的な学力の到達度を判定することや、思考力・判断力・表現力など多面的に能力を評価することなどが挙げられます。

国公立大学志望者にとっては一次試験であり、私立大学志望者も活用を検討すべき

国公立大学を一般選抜でめざす学生は、原則として共通テストを受験する必要があります。したがって、共通テストが志望大学受験においての実質一次試験となります。
また、私立大学の一般選抜においても、共通テストの受験成績を利用した「共通テスト利用(共テ利用)方式」を設定している大学が多くあります。

「共通テストとは?日程や科目、2024年度予測も駿台がわかりやすく解説」
「共通テスト利用入試とは?メリットと知っておきたい受験の知識」

共通テスト対策を始める前に考えておきたいこと

共通テスト対策を考える前に、まずは志望校受験に必要な受験科目、得点目安を把握しておく必要があります。

受験科目の選び方

5教科30科目(地理歴史と公民は合わせて1教科)で構成されています。出題範囲は高1・高2の学習内容が多くを占め、全問マークシート方式を採用。大学によって受験生に課す科目や選択科目の指定などもあるため、志望大学受験のために何を受験すべきか必ず確認が必要です。

何点をめざす?

志望校の過去の合格者のデータから、合格に必要な目標得点や目安を耳にすることがあると思います。現役合格を最優先に考える場合、また、志望校に迷いがある場合、そして出願が間に合う場合は、共通テストの得点結果(自己採点による得点見込み)を元に志望校の再検討を行います。
ただしそれらの目安はあくまでこれまでの実績であって、そこに届いていなくても、個別試験(二次試験)で挽回できて、合格している場合もあります。
共通テストの結果を元に、めざすのが、志望校合格なのか、現役合格なのか、併願校の見直しは必要かなどの最終判断を行い、このあとは個別試験(二次試験)に全力で向かうことになります。

何をする?おすすめの参考書は?

 前述の通り、出題範囲の多くは高1・高2の学習内容です。必然的に高校で学ぶ全体から見ると基礎部分にあたる内容が多くなるということです。しかしここで気を付けるべきは「基礎=簡単」ではないということ。その後の学びの土台であり、基礎ができないと次に進めないために教科書などでは丁寧に噛み砕いて説明されていることで、その説明を読んでいるだけでわかったつもりになりがちですが、実はその原理を理解するには多くの時間を要することもあります。共通テストでは、その原理をしっかり理解した上で、あらゆる問題へ活用できないと得点できません
 そこで共通テスト対策として取り組むべきは、基礎事項の徹底理解と過去問演習を通じたアウトプットの練習です。
 そのために、かつてのセンター試験の過去問を解いてみることも非常に有益です。なぜなら、共通テストと出題形式が異なっている箇所があるとはいえ、学びの本質や問われている内容は変わらないからです。
 駿台からも「共通テスト実戦問題集」を発刊していますので、ぜひ有効活用ください。

対策はいつから始める?

 高1・高2で学ぶ基礎内容が肝心という点で言えば、実は対策自体は高1から始まっていると言えます。振り返りや「固める」という意味で考えると、高3の夏までには基礎力を完成させておきたいところです。その基礎力を土台として、10月以降の秋から本格的に過去問演習などのアウトプットに取り組むと良いでしょう。志望校に対して自分がめざすべき得点率を徐々に意識していくことになります。

科目別対策のポイント

 今後の学習のポイントを科目別に紹介します。

英語 リーディング

 内容や場面が工夫された素材が出題され、多面的なリーディング能力が問われています。「複数の情報を処理する力」や「文章の論理展開を把握する力」などを意識して伸ばしていきましょう。また、限られた時間の中で、大量の英文を読む必要があります。日ごろから多種多様な英文素材を短時間で読解する練習をしましょう。さらに、複数の英文と図表の内容を組み合わせて考えるといった情報処理をすばやく行うような学習も必要です。たとえば模試で出題された英文を使い、設問で問われている箇所以外の部分も解答解説の全訳と照らし合わせて正しく読み取れているかチェックするようなトレーニングも有効です。

英語 リスニング

 音声情報から具体的な状況やイメージを頭の中で思い浮かべられるかどうかがポイントです。話し手の意図や場面を意識しながら、音声を聞く練習を積みましょう。今後も、音声情報と図表などの視覚情報をもとに解答したり、複数の情報を整理・判断したりするなど、多面的に情報を処理することが求められると予想されます。重要な情報を逃さずに聞き取ることができるように、メモを活用して短時間で情報を整理する練習を積むと良いでしょう。英語ニュースの聞き取りや、リスニング教材を活用しましょう。

数学

◇数学Ⅰ・A

試験時間70分でなるべく多くの解答ができるように、全体の時間配分が重要です。煩雑な計算を必要とし時間がかかる問題や、解法がなかなか見出せない問題は、勇気をもって飛ばしてほかの問題に着手するといった、時間配分を意識した演習もしておきましょう。過去問などを、きちんと時間を図ってやってみる、模試を複数回受けるなどすると良いでしょう。

◇数学Ⅱ・B

現実事象を題材とした第2問や第4問のように、今後も文章量が多い問題が出題される可能性があります。問題で与えられた設定や解答方針の意図を素早く把握し、誘導に従いながら解き進めるようにしましょう。

どちらにおいても、数学といえども問題文や文章量が多いのが共通テスト数学の特徴です。どの条件に注目してどのような知識を用いれば良いか、普段の参考書や問題集での演習において、問題文から必要な情報を素早く抜き出す訓練が必要です。ここは理系よりもむしろ文系の学生の方が得意かもしれません。

国語 現代文 古文 漢文

 2023年度は全大問で複数のテキストが提示され、全体の文章量はやや増加しました。
 受験生の学習過程を想定した設問や、複数テキストを比較・関連づける応用的思考力を問う設問が出題されます。本文の構成や展開を的確にとらえ、論旨や内容を正確に読み取る力に加えて、複数の文章や資料の共通点や相違点といった関連性をとらえる力が求められます。文章の表面的な読解にとどまらず、その根底にあるテーマや、表現の意図にまで着目して、深く考える力を身につけましょう。
古文においては、まずは単語を把握し、音読を心掛け、すらすらと読めるようになっておくことも大切です。
漢文は、返り点や句法、重要語句/単語を身につけ、古文同様音読をして、読むだけでなく合わせて聞くことで、習得スピードがあがります。

地理B

 複数の事項を組み合わせて深い思考力を問う問題が出題されます。資料に示された数値の変化や差異がみられる点に着目することが大切です。また、学習した原理原則を扱い統計を整理して自分で表現することで、多彩な資料を読解する力も身につけましょう。地誌の学習では、単に国ごとの特徴を確認するだけではなく、どのような自然的・社会的条件があるのか背景を考察するなかで地域へ視野を広げ、理解を深めましょう。

日本史B

歴史を考察する多面的・多角的な視点が求められます。同じ出来事でも、立場や視点を変えるとどのような評価ができるのか、学習内容と関連づけて考えましょう。また多様な多くの史資料を読解する力が求められます。教科書や資料集などを活用し、さまざまな史資料に慣れておきましょう。史資料から読み取れることを自分でまとめるなど、ポイントや趣旨を把握する訓練をしましょう。

世界史B

 資料の性質を踏まえて多様な資料を読み取り、読み取った内容を吟味・活用する演習を積み重ねましょう。資料や知識に基づいて、歴史上の出来事どうしの因果関係や想起・考察する力など、歴史上の出来事を多面的・多角的にとらえる視点を身につけましょう。会話文の読解を要する問題に対応するために、生徒や先生がどのような資料に着目し、どのような視点に立って会話を展開しているのか、会話文の主題を把握しながら判断する力を培いましょう。

倫理、政治・経済

 「倫理」では、現代社会の課題に対して、何が問題でどのように解決していくことができるのかについて問題意識を持ち、思想家のことばを想起しながら考えてみましょう。「政経」では、新聞やニュース、資料集などを活用し、日ごろからさまざまな文章や統計資料に慣れ親しみ、問われている内容を正確に理解する力や、複数の資料から必要な情報を抽出する力、その情報を関連づけて、原因、結果、背景、影響などを考察する力を身につけましょう。

物理

 日ごろから実験に積極的に取り組み、実験の経験を積んでおくことが大切です。グラフを読み取って考察する問題は、今後も出題が予想されます。日ごろから、グラフから読み取れる情報をもとに、推測・判断する経験を積んでおきましょう。目新しい題材や設定の問題にも対応できるように、日常の場面でみられる現象と物理法則がどのように関連しているのか広く考えることを、普段から意識しましょう。

化学

 教科書を中心に基本的な内容をまんべんなく理解しておくことが大切です。学習した内容は確実に定着させておきましょう。教科書に掲載されている実験や探究活動について、その意図や手法をしっかりと理解しておきましょう。さらに、得られたデータから、作図や計算をする演習も積んでおくことが大切です。問題演習に取り組み、問題の概要を把握する力と、与えられた問題文や図・グラフの情報をもとに正答の導出過程を考察する力を磨くことが大切です。

生物

 教科書に記載されている知識を覚えるだけでなく、分野どうしのつながりや、身のまわりの現象との関連を考える習慣を身につけましょう。問題文、設問文、複数の図表・グラフなど、多くの情報から必要な情報を読み取る練習も大切です。実験結果を解釈するだけでなく、その実験は何を明らかにするために計画されたのかを考えるなど、仮説を立てたり、実験を設計したりする視点を持ちましょう

共通テストで実力を発揮するには?

 読解力、思考力、判断力、表現力が試される共通テストにおいて本番で自分の実力を発揮するためには、十分過ぎるほどの対策とそこで一つずつ積み重ねていく自信が鍵を握ります。「これくらいでいいだろう」という不十分な準備では、本番当日に大きな後悔を招くことは目に見えています。高1から、学んだ道を一歩ずつ踏みしめて基礎を固めていくことが、一番の近道であり、最も効果のある対策です。すでに通り過ぎてきてしまった、という人は目の前のできることから始めましょう。
模試や過去問などを通じて、自分の弱点を洗い出し、同じ間違いをしないための努力をするだけでも、得点につながるかもしれません。
また、本物の共通テストの過去問に取り組んでみると一気にスタートへのスイッチが入ることもあります。高1生でも解ける問題は十分にあり、それを入口として共通テストへの興味・関心が強まる可能性もあります。
さあ、今すぐ始めましょう。

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