
執筆:八尾直輝
「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長
執筆:八尾直輝
「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長
「あなたの1週間の学習ルーティンを教えてください」
こう聞かれたら、どう答えますか?
授業は曜日で固定されているので、ルーティン化している人が大半でしょう。授業が決まっていれば、復習のタイミングも曜日で決めることができそうですが、決められている人は少なくないのではないでしょうか。
学習習慣がある人でも、なんとなく机につき、なんとなく思いついたものから学習をしていませんか?もしそうであれば、この記事をきっかけに、「自分の1週間の学習ルーティン作り」に挑戦してみてください!
学習ルーティンの基本は、各授業に必要な「予習・復習」の観点から、
を決めることです。
この表のように、やるべきことがすべて見える化されているのが理想です。
しかし初めから理想的な学習ルーティンを作っても、「絵に描いた餅」になってしまいがちです。
そういう人は、まずは自分の今の現状を書き出すのが良いでしょう。習慣になっていることをまず書き出し、そこに「小さな改善」を加えていくのです。以下に2つ例を出します。
例①:英語の予習ができていない
英語の長文の授業などは、予習が必須の場合もあるでしょう。また先生からの指示がなくとも、事前に知らない単語などを調べることで、授業をより効果的に活用することが可能です。
◆ルーティン例(英語の予習)
When :毎週月・水・金。16:30~17:00
Where :学校の自習室
What :英語長文の授業の予習。文章を一読し、知らない単語・表現を調べる
例②:数学の予習をやっているけど、復習はできていない場合
数学を復習するタイミングを考え、ルーティン化しましょう。当日に復習するのが基本ですが、少し時間をあけてから解きなおしをするのも有効です。例えば以下のようなルーティンを考えることができます。
◆ルーティン例(数学の復習)
When :毎週日曜日19時~21時
Where :自分の部屋
What :数学Aの問題集(1週間で間違えた問題)の解きなおし
いかがでしょうか。このような「あったらいいな」と思えるルーティンを、1つずつ習慣化していくことで、「理想的な学習ルーティン」に近づくことができるのです。
ここまで読んでくださったみなさんは、「意外とできそう」と感じられたのではないでしょうか。そう感じた人は、ぜひすぐにやってみてください。良い習慣を得るためには、まず行動してみることが重要だからです。
前のコラム(「経験学習モデル」)で書いたように、人は自分の経験からもっともよく学びます。頭で考えて「良いルーティン」を考えたとしても、それが身につくかは、やってみないと分かりません。習慣化は「くじ引き」みたいなものです。くじ引きは、「当たり」が出るタイミングはコントロールできませんが、繰り返すことで必ず「当たり」を出すことができます。同じように、「やってみてダメなら、また別のことを試してみる」くらいの心持ちで、いろいろと試し続けることが習慣化につながります。
何から始めようかと迷う人には「生活の3点固定」がお勧めです。
生活の3点とは、「起床・学習開始・就寝」という、生活の軸になる3つの行動のことです。この3つの時刻を守ることが、メリハリのある生活への第一歩です。
「起床・就寝」ができている人は、「学習開始」のルーティンを身につけてみると良いでしょう。
例えばですが、以下のような例が考えられます。
◆ルーティン例(学習開始)
When :月~金曜日の20時
Where :自分の部屋の机
What :椅子に座り、その日の教材をカバンからすべて取り出す
もちろん「学習開始」するだけですぐに学習をやめてしまっては成績は伸びませんが、最初の「椅子に座る」という行動をすることで、その後の学習にスムーズに取り組めることも少なくありません。
こういった「きっかけとなる行動」を習慣化するという意味で、生活の3点固定はとても効果的です。
学習ルーティンは目標を達成するためのものです。受験合格という目標を目指し、毎週小さな目標を達成するために、学習ルーティンを確立することが重要です。
1週間の目標設定では「時間」と「点数」の2つの指標に注目しましょう。「時間」とは学習時間のことです。学習時間は気合いで突然増やすものではなく、良い習慣をつくることで少しずつ増やすものです。学習時間を記録し、毎週少しでも学習時間を上乗せできるように改善を進めましょう。
「点数」は小テストの得点です。授業で実施される小テストは適切な学習ができているかの道しるべになります。小テストで満足のいく結果が出ていないときは、そこからルーティンの改善のヒントを得ることができるでしょう。
このように、目標とは「過去の自分」と比較するのが有効です。
『中学生における動機づけ調整方略と達成目標および学習習慣との関連』(2017遠藤志乃、中谷素之)という研究でも、「良い結果を出す」目標より、「自分の能力を高める」目標の方が習慣化に寄与するという結果が出ています。
受験は他の人との競争という側面もありますが、その競争に勝つためには、逆説的ですが自分の能力を伸ばすことに注力するのが良いと言えるのかもしれません。そういう意味でも、自分の学習ルーティンをつくり、日々改善を続けていってもらいたいと思います。
\ 駿台公式SNSをフォロー /
編集担当が選ぶピックアップ記事
「勉強のやり方」を教える塾プラスティー・塾長。 「できない」を「できる」に変換する独自の学習法と習慣形成の支援を行う「学習コーチ」というサービスを開発・提供。 共著には『ゲーミフィケーション勉強法』『小学生から自学力がつく』があり、雑誌『螢雪時代』への寄稿や、講演会の開催、学校・予備校・教育サービス開発に広く携わっている。
プラスティー公式サイト