この冬も大学入試関連イベントを実施! まずは見てみる

駿台講師対談 数学科 森茂樹×雲幸一郎

監修者:駿台予備学校 教務課

大学受験に向けて受験生・保護者の皆さんはいろいろなことを考えていると思います。今回は駿台の講師より受験に向けてどのように立ち向かっていくか、今何をすればいいのかなどざっくばらんに話をしてもらいました。ぜひご覧ください。(本記事内容は雑誌「大学への数学」に掲載された内容を再構成しています。)

目次

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「大学への数学」を定期購読していた雲先生の活用法

雲先生(以下、雲):高1の終わりか、高2の初め頃からです。 高2の12月頃から、巻末の学力コンテストへ応募し始めました。日々の演習や講義を何度も読み、たくさんの問題を解いていました。
学力コンテストは、 採点者を指名することができ、何かの拍子で森先生に一度採点して頂き、その後は森先生を指名するようになりました。森先生とは高3からの長いつき合いです。

森先生(以下、森):学力コンテストとその採点システムは昔からありました。採点時は、応募してくる学生と直接面識がある訳ではないので、どういう学生か分かりません。当時の雲先生は字がとても綺麗で、提出してくる答案も無駄のないスマートな解法、すごくかっこいい男の子をイメージしていました。その後、大学で会いました・・・(笑)。

:その節は大変お世話になりました。コンテストでは、賞品のバインダ―を10冊以上いただきました(笑)。

ケアレスミスを防ぐために

数学科 森茂樹

:ケアレスミスには色々な要因があって一言で言うのは難しいですが、癖があると思います。積分の計算や分数計算の時、または符合を間違えやすいなど。それらケアレスミスを全て平等に注意するのは困難です。自分の癖をある程度把握し、間違いやすいところを慎重に扱う習慣を身につけたいところです。

:入試に限定して言えば、入試問題は解けるように出来ていますから、途中で変な感じになってきたら疑った方がいいと思います。特に桁数が大きい分数になり、これを展開したらしんどいなっていう場合などは特に。

難関大に合格する学生の特徴は?

:駿台お茶の水3号館で東大に合格する学生をみていると、予習の時に考えるだけでなく、授業で私たちの解説が終わった後に自分自身の解答と比較し、問題1つ1つに対してしっかりと自分なりに分析しています。ここがこう変わったら他の問題に対処できないとか、この問題はここにポイントがあるから、 その特徴をうまく利用してスマートに解答を導くとか、そういうところをしっかり理解しながら学習している印象があります。
後は、授業中に出す簡単な課題に取り組む際、時間をかけて取り組んでいます。

:そういった学生は、答えを出そうとしているのではなく、答案を作ろうとしている学生でしょう。答えを出すだけなら知識を広げれば解ける問題や、公式を覚えるだけで答えられる問題もあります。けど、それだけでは難関大では通用しないと思います。自分で考えて答案を作ることを習慣にしている学生が合格しています。

:自分で解いて答案の形にするには、 構想力であるとか、どういうものを順番に記述すると理路整然とわかりやすく書けるとか、普段から自分の解いたものを解きっぱなしやメモみたいにしておくのではなく、文章として書いてみる。文章として書くと、論理の繋がりの甘いところが見えてきます。それを繰り返すことで、答案作成の質自体が高まっていきます。

入試本番などで問題を解く順番に対してのアドバイス ①東大編

:最初は一通り目を通した方がいいと思います。 東大であれば150分の中で、最初の10分~15分ぐらいは実際に解答用紙に書かなくても、どの問題ができそうか分析し、解けそうな目処がついた問題から始めるのが良いと思います。
最近の学生を見ていると、過去に解いたことがある問題から解き始めている感じがします。

:それも一つですが、見たことがある問題は最初の導入の部分はできても、解き進めてみると意外なところで実は 難しいところが潜んでいたりしますから、やっぱり私は少し手を動かして、考えてほしいですね。
東大であれば、頻出問題に見えて実はひねってある問題も多々あり、自分が知っている問題だからこうすればいいというパターンを決め込んでしまうと結構失敗します。再現答案を見ても、そういう答案はありますからね。これ、時間かけただろうなっていう答案が。やはり分析は必要です。
また、入試である以上、どうしても人間焦りが出てくるので、小問一つでも解いて、まずは落ち着くことは重要だと思う。

:私もそう思います。やはり1問解けると全然違います。焦ってしまうと解ける問題も解けなくなります。試験時間は、長いようで短いですからね。

入試本番などで問題を解く順番に対してのアドバイス ②その他

:大学によっては、4問あって1問だけ難問ということもあります。慶應大などは穴埋めですが、誘導に乗りやすい問題と乗りにくい問題があって、解答までがかなり遠い、時には2手も3手も先を問う問題もあります。

:過去問は、2~3年解いておくことは重要ですね。

:医学部も誘導形式の問題が増えていると思います。大問ドンッ!といった出題は少なくなっています。どこの大学でも誘導に乗れるか否か、出題者がどう考えたか、それを読み取る力が以前よりも必要になっています。

:東大・京大・東工大などの最難関校を除いては、やはり同様な問題が多くなっています。ある程度流れを示してしてくれていますから、先入観にとらわれないで、この出題者はこう解かせようとしている・・・と、考えてみることが大事です。

駿台のテキスト作成で工夫していることは?

:時期によりますね。駿台の前期であれば、基本的なことをしっかり理解する、その問題を復習する時にポイントがはっきり分かるような問題構成を心掛けています。

:雲先生の言う通り、前期の教材で基本をしっかり学ばせるのが駿台の大きな特徴です。いわゆる大手予備校の中で駿台の前期テキストが1番易しいのでは。
ただ、これには意味があり、問題を易しくしているのではなく、その易しい問題を根底から理解していることが次に繋がるという意識を持たせるためです。 単に答えを出すだけなら覚えてしまえばいいわけで、その上のレベルに行こうと思ったら、ベースになるところをしっかり把握し、それを理解し、最終的には使いこなせるようになることです。それを理解させるような基本的な問題を選んでいます。

:後期になると本番も近づいてきますから、基本事項の融合問題など難易度もUPします。復習の際も、まずは方針を立てる上で悩み、そして理解すれば(思い出せば)、結局は単純なことの組み合わせにすぎないことを理解させる。学生が分かっていると思っても、実は完全に使いこなせていないことを自覚させるような問題で構成しています。

数学科 雲幸一郎

冬期講習、直前講習など、直前期の教材の特徴は?

:講座にもよりますが、テスト演習などは本番と同じ時間という訳にはいきませんが、レベルは完全に合わせ、その大学を受験する練習になるよう作成します。

:講習は本番に向けて練習試合のような学習となりますが、数学が苦手な学生の場合、自分が独自で計画を立てる学習は無理にレベルを合わせる必要はないと思います。
例えば直前期に今までの復習をするとしたら、タイムパフォーマンスが重要なので、極端な話「もし本番にこれ出されたらアウト!」という問題はあえて復習しなくてもいいのかなって思います。

:そうですね。私も11月位まで頑張ってやろうとは言いますが、それを過ぎたら、自分がどういった得点パターンで合格最低点ラインまで持っていくかを考えさせることも大切です。易しめの小問を絶対に落とさないとか、途中段階までの部分点をしっかり積み上げるとか。

:1番タイムパフォーマンスがいいのは、自分が解けたり解けなかったりするギリギリのところを集中的に学習することです。

受験生に一言熱いメッセージを!

:受験生っていうのは、受験という意味では縛りもありますが、自分がやりたいことに打ち込める時期でもあります。
ですから、数学好きな人たちは、他の科目を圧迫しない程度に問題を考え、自分の手がつかない問題を数日考え、一見効率が悪そうに見えても長い目で見たら、そうやって粘るっていうことが将来役立ってくると思うのです。目先のことにとらわれ過ぎず、そういう自分の好きなことに打ち込むのも大切だと思います。

:勉強しているっていうのは時間じゃないっていうことを思っていてほしい。 自分は机の前にこれだけ座っていたから、これだけ勉強していたっていう意識の人が時々いますが、そうではないと思う。
だから 休んでもいいと思う。机から離れてもいいと思う。集中する時間を作ることがとても重要だっていう意識を持っていてほしい。

森茂樹、雲幸一郎の授業を受けるなら

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