面接は学校推薦型選抜や総合型選抜でおもに課されます。大学で学びたいことや自分自身のことなどアピールする点は志望理由書と同じですから、並行して準備を進めましょう。
苦手意識がある人も、「うまく」より「わかりやすく」話すことを心がけ、自信をもって面接に臨んでください。
大学入試面接では何を見られる?
面接では、
① 意欲
② 基礎的な学力や能力
③ 人間性
が問われます。これらは志望理由書の内容と共通ですが、面接ではさらに掘り下げて質問されると考えましょう。
<面接官は見ているポイントはここ!>
① 意欲
意欲を伝えるポイントは「大学で学びたいこと」「大学への志望理由」「将来の目標」を具体的に述べることです。
「将来の夢を実現するために、大学では〇〇学を学びたい。それには志望大学が最も適している」と一貫性のあるビジョンを考えておきましょう。
② 基礎的な学力や能力
大学で学びたいことに関連して、高校で学んできた学習内容や社会課題について問われることがあります。大学で学ぶために必要となる基礎的な学力や知識を備えているかどうかを確認する質問です。
また、大学ではディスカッションやプレゼンテーションなどの機会が多くあります。面接での受け答えを通して、表現力や課題解決能力もチェックされます。
③ 人間性
学業に真摯に取り組めるか、4年、あるいは6年間継続することができるかどうかが確認されます。
さらに学校推薦型選抜や総合型選抜の受験者は、入学後にほかの学生の模範となることが期待されていますから、主体性や協調性、リーダーシップなども評価されます。
<短い面接時間の中で、どうアピールするか?>
面接時間は10~15分、中には5分程度の場合もあります。効果的にアピールするためには次の点に注意しましょう。
- 質問をよく聞く … 面接官が知りたいことを正確に把握して、質問に合った回答をする。
- 結論から話す … 続いて理由や具体例を説明する。
- 自分の話し方の癖を理解する … 先生や友人からアドバイスを受けて改善する。
まとまりのないだらだらとした話し方は禁物です。それを避けるためにも、伝えたいことの要点を簡潔にまとめておきましょう。
質問数が少なかったり、用意した内容のすべてが必ずしも質問されるわけではありませんが、考えたり調べたりしておいたことが、予期せぬ質問で役立つことがあります。
<総合型選抜(旧AO方式)の面接のポイント>
多様な方法で受験生を評価する総合型選抜では、面接でのアピールが特に重要です。
アドミッションポリシー(入学者受入方針「どのような学生に入学してほしいか」)と合っているかどうかがチェックされます。
そのためにも、オープンキャンパスに積極的に参加して、志望校への理解を深めましょう。
大学入試面接の基本的な質問例一覧と答え方
大学入試面接でよく聞かれる質問 | |
・本学を志望した理由は? ・本学で学びたいことを教えてください 〈入学後の目標〉 ・入学後の目標(抱負)を教えてください ・大学で挑戦したいことはありますか? ・大学生活に期待していることは? 〈自己PR〉 ・自己紹介をしてください ・長所はなんですか? 短所はなんですか? 〈高校生活について〉 ・高校生活で頑張ったことを教えてください ・高校時代の思い出について教えてください 〈大学の印象〉 ・オープンキャンパスに参加したときの印象を教えてください ・本学についてどのようなイメージをもっていますか | 〈志望理由〉〈他大学の受験状況〉 ・併願はされていますか? ・本学は第一志望ですか? 〈将来の夢〉 ・卒業後にやりたいことはなんですか? ・あなたの夢はなんですか? 〈その他〉 ・最近のニュースで関心があるものは? ・尊敬する人物は? ・入試区分(総合型選抜、学校推薦型選抜)を選んだ理由は? ・なにか質問はありますか? |
次に面接での基本的な質問例ごとに、回答の考え方をアドバイスします。ただ、面接でどのような形で質問されるかは面接官によってまちまちですから、答え方のテクニックではなく、伝えるべきことや伝えたいことを十分に検討して準備することが大切です。
1)志望理由
- 質問例
-
本学を志望した理由は?
-
本学で学びたいことを教えてください
志望理由では、「大学で学びたいこと」と「大学への志望理由」の2つを伝えられるよう準備しましょう
「大学で学びたいこと」は、環境や情報といった漠然としたことではなく、エネルギー問題や情報セキュリティ技術など、社会課題と関連づけて具体的に話すことが必要です。
<考えておきたいこと>
- 興味をもったきっかけや、興味の対象について取り組んでいること(読書、ボランティア活動など)
- 学びたいことに関連する社会課題や動向
- 入学したら学んでみたい授業やゼミナール・研究室
- アドミッションポリシー(入学者受入方針)を読んで共感できること
- 大学・学部・学科の「特徴や強み」としてアピールされていることの中で、興味をもったことや自分に役立つと思うこと
- 志望校の環境(設備や校風など)やサポート(就職・キャリア、資格取得など)で魅力的に感じたこと
「大学への志望理由」は、志望校について情報収集したことの中から、自分が魅力に感じることを見つけます。できれば、魅力を複数考えておきましょう。
大学の志望理由の具体的な書き方や答え方については、こちらの記事も参照してください。
「大学入試 志望理由書(自己推薦書)の書き方、面接での答え方」
2)入学後の目標
- 質問例
-
入学後の目標(抱負)を教えてください
-
大学で挑戦したいことはありますか?
-
大学生活に期待していることは?
大学進学にあたっての目的意識やその具体性(計画性)が見られます。受け身ではなく主体的な姿勢を示しましょう。
ただ、今の段階で明確な目標を述べることを難しいと感じる人もいるでしょう。入学後、大学で学ぶうちに目標が変わることもあります。目標を絞るというより、今の自分が大学で「知りたい」「やってみたい」と思うこと率直に伝えましょう。
<考えておきたいこと>
- 入学したら学んでみたい授業やゼミナール・研究室
- 大学が提供するカリキュラムやプログラム(留学・資格取得など)の中で興味をもったこと
- 課外活動(部活動やサークル活動、ボランティアや地域連携・産学連携活動、他大学との交流など)の中で参加したいと思うこと
- そのほか大学時代に挑戦したいこと(社会経験、インターンシップなど)
3)自己PR
- 質問例
-
自己紹介をしてください
-
長所はなんですか? 短所はなんですか?
大学入試面接で求められる「自己PR」では、学業や学生生活を送る上で活かすことのできる強みや個性を、経験とともに伝えます。
限られた時間でアピールするためには、伝えたいポイントを整理しておくことが必要です。自己紹介を求められた場合にも、人柄や趣味など話題をいろいろと盛り込むより、長所や特にアピールしたいエピソードに絞って話しましょう。
また短所は、改善するために取り組んでいることも述べましょう。
<考えておきたいこと>
- 自分が力を入れた経験とそのことへの取り組み方
- 満足度や達成感を感じた経験
- 他者からほめられたこと
- 失敗経験と改善のために取り組んでいること
4)高校生活について
- 質問例
-
高校生活で頑張ったことを教えてください
-
高校時代の思い出について教えてください
面接官は、高校時代の経験を聞くことによって、入学後に受験生がどのように力を発揮してくれるかをイメージします。
地道に研究に取り組む姿勢や、部活動や課外活動で培われた協調性やリーダーシップなどがアピールになります。
さらに、大学での学びは、知識を吸収するとともに、その知識を活用して、自分の力で考えて問題を解決したり、新しいアイデアや技術を開発したりすることが求められています。
つまり、課題解決能力や目標達成能力が高く評価されます。
「頑張ったこと」や「思い出に残ったこと」などの質問に対する回答は、課題を解決した経験や目標を達成した経験(「課題や現状→解決や克服のための取り組み→成果」などの成長のプロセス)に着目して、考えてみましょう。
<考えておきたいこと>
- 学業や部活動での目標や課題と、その達成や解決のために取り組んだこと
- その取り組みがチームによるものであれば、自分の役割やチームに貢献したこと
- 取り組みを通して学んだこと、成長したこと
高卒生も「高校時代の経験」と質問されたら、基本的に高校時代のことを話しましょう。
加えて、高校時代の受験勉強での自分の課題(苦手や勉強不足だった点)と、そのことに卒業後どのように取り組んできたかも考えておきましょう。高校卒業後も意欲的に学習に取り組んでいる様子を伝えることが大切です。
大学の印象について
- 質問例
-
オープンキャンパスに参加したときの印象を教えてください
-
本学についてどのようなイメージをもっていますか
これらの質問は志望理由と考え、大学に対して魅力に感じていることを伝えましょう。
オープンキャンパスの印象では、「模擬授業で興味をもったこと」や「キャンパスの雰囲気で自分と合っていると思うこと」など、入学したい意欲につながることを考えてみましょう。
大学に対するイメージの質問でも、「大学・学部・学科の強みや特徴」「伝統や校風」などを伝え、志望校のことを十分に理解した上で受験していることをアピールしましょう。
<考えておきたいこと>
- オープンキャンパスの模擬授業や大学・学部・学科説明で興味をもったこと
- 教員やオープンキャンパススタッフの接し方で気づいたこと
- 志望校の3つのポリシーと自分が共感する点
- 卒業生が活躍している職業・分野とそのことに対する自分の憧れ・期待
- 研究やスポーツなど、志望校についてニュース等で取り上げられていること
他大学の受験状況
- 質問例
-
併願はされていますか?
-
本学は第一志望ですか?
これらの質問は、選抜方法によって対応に注意しましょう。特に学校推薦型選抜では、第一志望(専願=合格したら入学を前提とする)かどうかが重視されます。
併願校を質問された場合は、大学名(学部名)だけで、志望順位までは伝えなくて良いでしょう(特に他大学が第一志望の場合)。
第一志望かどうかは、確認目的以外に、志望理由が不十分な場合にも質問されることがあります。
<考えておきたいこと>
- 高校や予備校でアドバイスを受けて、志望校や志望順位について自分の考えを明確にする
- 志望理由で話すことに加えて、志望校を選ぶ決め手となるような理由を別に考えておく
将来の夢、就きたい職業
- 質問例
-
卒業後にやりたいことはなんですか?
-
あなたの夢はなんですか?
医療、保育・教育、福祉など、専門性が高い目標をもっている人は、その理由や免許・資格取得に向けた意欲を伝えましょう。
法律・経済・経営、文化、国際など、幅広い進路が可能な学部・学科は、志望校の卒業生の就職先を調べてみるのも方法です。
また、研究者や技術者をめざす人は大学院進学という選択肢もあります。
具体的な職業がまだ見つからない人も、将来携わってみたい分野や解決に貢献したい社会課題など、大まかな方向性を考えておきましょう。「入学後の学習や大学生活に積極的に取り組み、目標を決めていきたい」と前向きな姿勢を伝えましょう。
<考えておきたいこと>
- 自己分析を行い、自分の興味や関心・適性・価値観(こだわりや大切にしたこと)を明らかにする
- 大学で学ぶことを活かして、自分が解決に貢献したいと思う社会課題を探してみる
そのほかの質問例と逆質問「質問はありますか?」 対策
- 質問例
-
最近のニュースで関心があるものは?
基本的には大学で学びたいことに関連する話題が良いでしょう。ニュースの内容を説明するだけでなく、それに対する自分の意見も考えておきましょう。社会情勢は変化が著しいですから、いったん選んだ話題であっても、継続的に情報をチェックすることが必要です。
- 質問例
-
最近読んだ本は?
高校生向けに学問をわかりやすく紹介した新書など、志望理由の参考になる図書が多くあります。長期休暇など時間に余裕があるときに、読んでみましょう。
- 質問例
-
尊敬する人物は?
あなたの人物面の理想や目標を知るための質問です。著名人でも身近な人でもかまいません。なりたい自分をイメージして、その人物を尊敬する点や憧れる点を考えてみましょう。
- 質問例
-
入試区分(総合型選抜、学校推薦型選抜)を選んだ理由は?
自分の力を最も発揮できる入試区分であることをアピールしましょう。学業と部活動との両立など、充実した高校生活を過ごし、大学でも幅広く挑戦したいという意欲を伝えます。先生に勧められたからはNGです。
- 質問例
-
なにか質問はありますか?
面接官から質問されるのではなく、受験者からの質問を求める、「逆質問」。
緊張していることもあり、用意しておかないと「特にありません」と回答して終わってしまいます。大学や学問分野について関心が高ければ、知りたいことがあるはずです。意欲を試されていると考えて、質問を用意しておきましょう。ただし、大学案内やWebサイトを見ればわかるような安易な質問は避けましょう。
大学入試面接のタイプとアピールポイント
大学入試面接には、
- 個人面接・個人面談形式
- 集団面接形式
- プレゼンテーション形式
- グループディスカッション形式
などのタイプがあります。1つの形式のみか、複数の形式を組み合わせて行われます。
それぞれのタイプのアピールポイントを説明します。形式に合わせて準備や練習をして本番に臨みましょう。
個人面接・個人面談形式
受験生1名に対して2~3名の面接官で行われる最も基本的な形式です。
ほかの受験生に左右されないため、アピールするチャンスが十分にあります。
それだけに、掘り下げた質問が行われることがあります。
特に専門分野について予期せぬ質問をされて、回答が思いつかなくても、「これからしっかり勉強します」と前向きに対応しましょう。
集団面接形式
受験生3~5名で行われる形式です。
ほかの受験生に影響されることなく、準備した内容を、自信をもって伝えましょう。
「志望理由」「自己PR」など、同じ質問を1人ずつ聞いていく進行が一般的です。
ただし、質問する順番を入れ替えたり、順不同で意見を求められたりする場合がありますので、ほかの受験生の発言にも注意を払っておきましょう。
プレゼンテーション形式
与えられた課題に対して発表を行う形式です。
多くのことを盛り込みたいと思いがちですが、制限時間(おおむね3~10分程度)を考慮し、構成を検討しましょう。
プレゼンテーション後に質疑応答が行われる場合がありますので、発表内容についてはもちろん、面接で想定される質問についても準備しておきましょう。
グループディスカッション形式
おおむね5名程度の受験生同士が、与えられたテーマについて話し合い、問題解決能力や論理的思考力、コミュニケーション能力や表現力、協調性やリーダーシップなどを評価する形式です。
自由討論、ケーススタディ(テーマについて解決策や提案を提示する)、ディベート(賛成と反対に分かれて討論する)などの方法があります。
テーマは志望する学部・学科に関連する社会課題から出題されることが多くなっています。
結論だけでなく、結論に至るまでの話し合いのプロセスが重要ですから、積極的に議論に参加しましょう。
面接の流れとマナー
面接は、回答内容に加えて、面接官に与える印象も重要です。意欲的で、好感を与える立ち居振る舞いを説明します。
大学入試面接の流れ
教室で個別的に行う場合と、広い教室やホールに複数のコーナーを設けて行う場合があります。
進行は、入室する(またはコーナーへ誘導される)、受験番号や氏名を名乗る、着席して質疑応答を受ける、退出するという流れが一般的です。
「失礼します」(入退室時)、「よろしくお願いします」(開始時)、「ありがとうございました」(終了時)と、タイミングに応じて、ハキハキと挨拶しましょう。
着席を促されるまで座らない、指定された場所に荷物を置くなど、面接官の指示をよく聞き行動します。
学校での面接練習は必ず受けておきましょう。
姿勢、目線、声に注意
面接では第一印象が大切です。堂々と自信をもった印象であれば、面接官の期待値もあがります。背筋を伸ばして座る、落ち着きのない動きをしない、などに注意しましょう。
目線は質問している面接官を中心に、時折そのほかの面接官にも向けます。面接官が話しているときに、アイコンタクトやうなずいて、反応を示すと好印象です。
声の大きさやトーンによって意欲の伝わり方が変わります。高めのトーンで話すと活発な印象を与えます。
焦って早口にならないように、意識してゆっくりと話しましょう。話の区切りで間をとり、面接官が理解しているか確認するような気持ちでアイコンタクトすると効果的です。
身だしなみ、服装
高校生は特に指示がなく、高校の制服があるならばその制服で臨みましょう。私服の場合は、カジュアルな服装は避け、ジャケット、襟のついたワイシャツ、スラックスやスカート(ジーパンを除く)などを着用しましょう。
一方通行ではなく双方向の対話を
面接は誰でも緊張するものです。「なに」(内容)を、「どう」(話し方)話すか、両方の観点でしっかり準備して受験しましょう。
面接というと、用意した内容を話すことに精一杯になりがちですが、面接官が知りたいことを正確にとらえ、それに応えて自分の主張を表現していく対話の場でもあります。大学の学びでも、そのような力が求められています。
自分の能力を高める気持ちで取り組んでいきましょう。