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私立大学文系・理系の学費 4年間でいくら? 国公立大学との差は?

監修者:駿台予備学校 教務課

「私立大学は学費が高い」というイメージ持つ人も多いのではないでしょうか。たしかに国公立大学に比べると、毎年の学費は高くなります。しかし、私立大学でも文系・理系で学費は異なり、大学による違いもあります。この記事では、私立大学の学費の相場と、その資金をどのように用意するべきかについて解説します。

目次

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大学の学費の平均費用はいくらになるか?必要なのは授業料だけじゃない

令和3年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)

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調査校: 597校
(昼間部) (参考)
授業料 入学料 施設設備費 合計 実験実習料 その他 総計
文科系 文・教育 821,813 225,770 155,794 1,203,377 11,103 89,774 1,304,254
神・仏教 770,742 221,067 154,743 1,146,551 2,134 58,027 1,206,712
社会福祉 782,154 216,339 170,198 1,168,691 7,206 77,160 1,253,057
法・商・経 812,758 226,215 141,447 1,180,420 6,461 64,726 1,251,607
平均 815,069 225,651 148,272 1,188,991 8,319 75,126 1,272,437
理科系 理・工 1,111,240 238,432 154,990 1,504,662 57,433 65,279 1,627,375
1,427,708 334,717 311,125 2,073,550 30,766 74,125 2,178,441
農・獣医 1,008,511 251,393 208,826 1,468,730 115,766 34,206 1,618,701
平均 1,136,074 251,029 179,159 1,566,262 61,004 62,758 1,690,024
医歯系 2,670,071 1,340,379 1,097,202 5,107,652 311,091 1,629,439 7,048,182
3,267,136 599,454 631,960 4,498,551 604 986,055 5,485,210
平均 2,882,894 1,076,278 931,367 4,890,539 200,419 1,400,106 6,491,064
その他 家政 828,378 240,706 186,041 1,255,126 46,776 107,771 1,409,673
芸術 1,130,319 242,414 273,410 1,646,143 40,273 104,576 1,790,991
体育 839,357 250,277 210,443 1,300,077 43,708 97,503 1,441,287
保健 993,583 266,006 246,452 1,506,041 114,532 83,167 1,703,740
平均 969,074 254,836 235,702 1,459,612 78,917 93,619 1,632,148
全平均 930,943 245,951 180,186 1,357,080 34,462 91,423 1,482,964
※医学部看護学科は「医」区分に含まず、「保健」区分に含める。 (単位:円)

私立大学の場合、授業料や入学金を含めた初年度の大学に収める費用は、全学部平均で約148万円です。もちろん大学や学部によっても異なりますが、それでも決して安くはありません。また、学費以外にかかる費用も考慮する必要があります。

学費に含まれるものは授業料だけではない

学費には、施設設備費や実験実習料など、授業料以外の費用も含まれます。初年度は、入学金も必要です。初年度納入金の平均額約148万円のうち、授業料は約93万円です。つまり、初年度では授業料に加えて、50万円以上支払うことになります。

理系のほうが文系よりも高くなる理由

同じ大学でも、理系学部のほうが文系学部よりも学費は高くなります。

理系学部の学費が高い理由のひとつは、実習・実験に使う施設や機材、材料などにお金がかかることです。ほかにも、実習や実験を行うとき、1人が対応できる学生の数には限りがあるため、多くの教員を雇用する必要があることもあげられます。座学での講義でたくさんの学生に、1人の教員が教えられる授業が多い文系に比べて、理系は人件費も高くります。

国公立大学の場合

国公立大学は、文系・理系による学費の違いは基本的にありません。

国立大学の標準額は入学金が28万2000円、年間授業料は53万5800円です。ほとんどの大学は、標準額を学費としています。私立大学に比べると学費は安く抑えられますが、国立大学は数が少ないため、基本的に入試の難易度が高くなっています。

公立大学は、大学によって学費が異なります。その地域の出身者かどうかによって、入学金が異なる大学もあります。とはいえ、基本的には私立大学に比べると学費は安く、国立大学と同程度かそれよりもやや安い大学が多くなります。

ただし、学費が安いからといって遠方の国公立大学に進学すると、一人暮らしの生活費や交通費がかさみ、結局それほど安くならないということもあります。

こちらの記事も参照
国公立大学の学費は安い?私立大学との比較や学部での違い

医学部は6年間で平均3,500万円

私立大学の医学部は、理系学部の中でもとくに学費が高くなります。平均では1年間の授業料だけで約260万円。施設費などを含めると1年間の学費が約570万円。入学金を含めた6年間の学費総計の平均は、約3500万円です。

もちろん大学によって違いはありますが、少なくても6年間の総額は2000万円程度と、他学部に比べると高額です。大学によっては、成績による減免措置や、特待生制度があるので、調べてみると良いでしょう。

私立大学理系で大学院まで進学した場合は?

理系学部では、文系に比べて大学院へ進学する人も多くなります。大学院は、2年間の修士課程(博士前期課程)と、修士課程終了後に3年間の博士課程(博士後期課程)があります。

大学院も文系に比べると、理系のほうが学費は高くなることが多い傾向にありますが、大学による違いも大きいので一概には言えません。
文部科学省による調査によると、私立大学大学院の納付金の平均額は、入学金が修士課程・博士課程ともに20万円程度。授業料は修士課程が約77万円、博士課程が約62万円です。大学から内部進学で大学院に進む場合は、入学金がいらない場合もあります。

参照:

文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について

学費が高い、安い、大学によっても費用は変わる

私立大学は、大学によってかなり学費に違いがあります。また夜間に通う二部であれば、初年度納入金が100万円未満の大学もあります。
費用の高低だけでなく、学びたい学問があるか?そこでしか学べないものは何かをきちんと見極めることが必要です。

いくつかの例をご紹介します。

比較的学費が高い大学の例

・A大学 教養学部

入学金 30万円
授業料 110万1,000円
施設費 35万4000円
初年度納入金合計 175万5000円(2023年度)

・B大学 理工学部

入学金 24万円
授業料 117万2000円
実験実習料 8万7000円
教育充実費 31万2000円
諸会費 1万3000円
初年度納入金合計 182万4000円(2023年度)

・C大学 グローバル人材育成

入学金 20万円
授業料 185万円
学生健康保険互助組合費 3500円
初年度納入金合計 205万3500円(2023年度)

比較的学費の安い大学の例

・D大学 文学部

入学金 25万円
授業料 71万円
一般設備施設資金 22万円
初年度納入金合計 118万円(2024年度)

・E大学 文学部・経済学部

入学金 18万円
授業料 79万3000円
教育充実費 18万3000円
その他 1万6600円
初年度納入金合計 117万2600円(2024年度)

二部制の大学学費例

・F大学 法学部法律学科(第二部)

入学金 16万円
授業料 47万円
施設設備資金 10万円
交友会費 1万円
初年度納入金合計 74万円(2021年度以降)

・G大学 理学部数学科(第二部)

入学金 15万円
授業料 60万円
施設設備費 16万円
初年度納入金合計 91万円(2023年度)

大学4年間にかかる 学費以外の費用

大学生活では、学費以外にもさまざまな費用が必要になります。

生活費の平均、親からの仕送り額は

大学生協の調査によると、下宿している大学生の1カ月の生活費の平均額は、住居費が5万3920円、食費が2万4680円、その他交際費や電話代などを入れた支出の合計は12万5040円となっています。自宅生の場合は、住居費がほとんどかからないこともあって、食費や貯金も含む支出の合計は6万2970円です。

一方の収入は、下宿生の場合、仕送りの平均が7万1880円、アルバイトで2万9130円。その他に、奨学金などを含めて合計12万5280円です。自宅生の場合は、小遣いやアルバイト、奨学金などで、6万3630円の収入となっています。

参照:

全国大学生協連「Q:大学生活にかかるお金は?

留学したい 留学費用は?

留学費用は、留学先や期間で大きく異なります。夏休みなどを利用した1ヶ月程度の短期語学留学であれば、30~60万円程度。1年間の留学となると、行先によっては数百万円が必要です。

大学や学部によっては、留学による単位取得が必須な場合もあります。志望校の制度を確認しておきましょう。

こちらの記事も参照
大学の費用は平均いくらかかるもの?いくら貯めておく?必要になる費用を知る

学費が払えない!とならないために知っておきたい支払タイミング

大学生活でかかるだいたいの費用が、理解できたところで、その支払いタイミングについても把握しておきましょう。
学費については、支払いが滞ると、通えなくなってしまうので注意が必要です。

大学の学費は、前期と後期に分けて支払うのが一般的です。
学校によって支払い時期は違いますが、前期を4~5月、後期を10~11月頃に支払う大学が多い傾向にあります。

初年度前期と入学金の支払いタイミングは、とくに注意が必要です。私立大学の多くは、合格発表後2週間程度の日程で、入学金の支払い期限を設けています。それまでに入学金を支払わないと、基本的に入学辞退とみなされます。そのため、学校型推薦や総合型選抜入試の場合は10月頃、一般選抜では1~2月から入学金の支払いが必要になります。

また、大学によっては、入学手続き時には入学金のみを支払い、授業料は4月以降に払うところと、入学金と一緒に前期の授業料も振り込むところがあります。ほかにも、入学前の1月に入学金と前期の授業料、合わせて100万円前後を支払うシステムの大学もあります。そういったケースで入学を辞退した場合、入学金は返金されませんが、授業料は期日前までに指定の手続きをすれば返金されます。

学費の資金をどう用意するか?

入試を突破しても、学費が用意できなければ大学に通えません。学費の資金をどう用意するかは、早い段階で考えておく必要があります。

まずは保護者と相談

大学の学費として、保護者が用意している家庭もあるので、まずは保護者に相談するのが良いでしょう。保護者が用意できていなければ、学資ローンを利用する方法もあります。子どもの教育費利用のためのローンなどは、保護者名義でなければ組めないものもあります。
まずは、自分がどこの大学でどんな勉強をしたいのか、そのためにどれだけの学費が必要なのかを説明し、保護者の考えと自分の考えをすり合わせましょう。

アルバイトで学費を賄えるか?

自分で学費を払うために、アルバイトで賄うという考えを持っている人もいるかもしれません。

理系学生は、文系に比べて学費が高いうえに、実習や実験が多く、学校にいなければならない時間も長くなります。そのため、理系学生はとくにアルバイトだけで学費を賄うのは厳しくなります。
文系の場合は、理系に比べると履修科目の組み方次第では、アルバイトの時間も確保しやすいと言えるでしょう。学費があまり高くないところであれば、アルバイトだけで学費を賄うことも可能かもしれません。

それでも、生活費に加えて年間100万円近いお金を稼ぐのはかなり大変です。学費のために学業がおろそかになっては、本末転倒です。
次に述べる各種制度も内容を調べて、あわせて活用することをおすすめします。

大学の無償化制度について

大学の無償化制度が利用できれば、返還義務のない給付型の奨学金を受けられます。適用されれば、入学金や授業料が免除されるだけでなく、毎月最大7万5800円の支給も受けられます。日本学生支援機構の貸与型奨学金との併用も可能です。

制度の対象となるには、世帯所得など、家計の経済状況に関する要件と、学業成績に関する要件を満たす必要があります。また、継続して支援を受けるには、認定されるときだけでなく、その後も成績が規定を満たしていなければなりません。

参照:

文部科学省「高等教育の修学支援新制度

奨学金制度を調べる

大学生向けの奨学金には、日本学生支援機構などの独立行政法人によるものや、大学ごとに設けているものなど、さまざまな種類があります。成績上位者を対象に、返済義務のない給付型の奨学金もある一方で、多くの奨学金は卒業後に返済が必要です。利率や貸与額などを考え、無理のない範囲で利用するようにしましょう。

国の教育ローンはどんなもの?

国の教育ローンとは、日本政策金融公庫による公的融資制度です。正式には教育一般貸付という名称で、政府管轄の金融機関から、1.95%という低金利で進学費用を借りられます。

一般的なローンは、所得が少ないと借りられませんが、国の教育ローンは所得の下限はありません。上限は扶養している子供の人数で変わり、子供が1人の場合、世帯年収790万円以下であれば借り入れ可能です。

参照:

日本政策金融公庫「教育一般貸付(国の教育ローン)

経済的理由で学びをあきらめないために

最高学府である大学は、自分の興味があることを集中して学ぶ機会を持つチャンスです。
私立大学は費用が高いためにあきらめる人もいますが、日本の大学生のうち国公立大学に通っているのは全体の25%程度。約3/4にあたる73%の大学生は私立大学に通っています。

奨学金などで工夫しながら学生生活を送る大学生も多いので、まずは事前に使える制度や方法を調べて、計画を立ててみてはいかがでしょうか。

まだ志望校や学部、学科が決まっていない人はこちらの記事も参照に学びたいことを見つけてください。
大学の学部、学科の選び方 5stepで見える選択肢

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